ビール日記 インドの青鬼は青いセックスに似ている
旨いなあ。
もう、ほんっと美味い。
日本のビールで1番大好きなんです、「インドの青鬼」。
鮮烈な苦味と、グレープフルーツのような香り、濃厚な甘み。
初めて飲んだ時、あまりの衝撃に、缶を撮影してスマホの待ち受け画面にしたほど。このビールの存在を脳裏に刻みつけたくて、常に目に触れる待ち受け画面に設定したのだ。
その時、私は大学生で、人生初の彼氏とコンビニで「インドの青鬼」を発見したのだが、パッケージの芸術性、ネーミングの奇天烈さが、私と彼氏の青いサブカル魂をくすぐった。
私のビール感を根底から覆したこのビールは、しばらくするとコンビニから消えた。ビールの購入先をスーパーかコンビニしか知らなかった私は、手に入れる術を失い、2年が経った。
「IPA好きなの?」
大学を卒業し、就職した私は、昼休みに会社の先輩に声をかけられた。
「IPA?」
「だって、スマホの待ち受けの写真、『インドの青鬼』じゃん」
当時はまだIPAブームの前夜で、私はそんなビールがあることも、「インドの青鬼」がIPAであることも全く知らなかった。
それをきっかけに、IPAマニアだった先輩に海外のIPAを教えてもらい、ビール専門店に連れ回され、IPAブームが盛んだった大阪にひとりで遠征するまでになり、「エール疲れ」に至るまで呑みまくった。(先輩曰く、「エール疲れ」を乗り越えた先に、真のビール道があるらしい)
「エール疲れ」をして焼酎に逃避した時期もあったが、IPAの味が恋しくなったとき、私が手にしたのは「インドの青鬼」だった。
IPAにカムバック以来、私の毎日の晩酌は「インドの青鬼」だ。たまに出来心で他の銘柄に浮気することもあるけど翌日には必ず戻ってしまう。
このビールと出会った時にお付き合いしていた初恋の彼とはお別れして、色んな人と身体を重ねたけど、「インドの青鬼」を口にするたび、初恋の彼との甘い愛欲、鮮烈な恋の苦味が、その味とリンクして、私の胸をキュッと締め付けるのだ。
酸味★★☆☆☆
苦味★★★★★
香り★★★★★
口当たり ★★★★★
旨味・コク★★★★★
ビール日記 ヤッホーブルーイング「SORRY UMAMI IPA」
かつお節を使用している、とラベルに書いてある。
成城石井で、今夜のビールは何にしようか品定めしている時、目に留まった。
あと味がかつお節なのか、いきなりドッとかつお節風味が泡とともに流れ込んでくるのか。
フルーティな味わいが売りのIPAとかつお節風味があうわけが無い。
いつものインドの青鬼を購入しよう。
でも、大好物のインドの青鬼を開発したメーカーの新製品なんだから、ファンとしては試す義理があるのではないか?
他のビールは品薄なのに、「SORRY UMAMI IPA」は在庫を見る限りまだ2本くらいしか売れていないようだ。
ヤッホーブルーイングのファンとして、忠義を尽くすことに決めた。
恐る恐るひと口舌に転がし、香りを嗅ぐ。かつお節の匂いは全然しない。舌触りは滑らかで、微かにIPA特有のフルーティな香りと苦味を感じる。喉に流し込んで、慎重に残り香を確かめるが、かつお節の香りはやはりない。
個性的過ぎて飲み残しちゃうかと思いきや、ちょっと物足りないくらいあっさりとした味わいだ。
なんでかつお節を使用したのか、ヤッホーブルーイングのHPを見てみた。
「かつお節を使用する狙いは、かつお節が持つうまみ成分により酵母の働きを活性化させ発酵を促進させることです。これにより、ふんだんに使用したアメリカ産ホップのシトラスやトロピカルフルーツを思わせる香りがより一層引き立ち、華やかでジューシーな味わいに仕上がります。」
なるほど、かつお節はあくまでIPAらしさを爆発させる着火剤だったのだ。
私はもっと苦味も香りも強い味わいが好きだけど、よなよなエールや水曜日のネコでIPAが癖になったファンの、次のステップとしてはピッタリな商品だと思う。
日本のIPA業界を牽引しているヤッホーブルーイングが、「これが我らが開発したジャパニーズIPAなんだ!」と宣言するがごとくジュポニズム溢れるデザインにしたラベルも、味わった後だとイカして見える。
酸味★☆☆☆☆
苦味★★☆☆☆
香り★★★☆☆
口当たり ★★★★★
旨味・コク★★★☆☆
ビール日記 バーリアルリッチテイスト
アルコールに安くて美味いものってそんなにないと思っているので、安いってだけで倦厭してしまう。
酒は高いものを少し飲むのがいい派の私が、ザルみたいな大酒飲みと結婚してしまい、毎月の酒代が一気に跳ね上がった。底なしに飲めてしまうビールは禁止令を敷き、家庭内で提供するアルコールは焼酎に限定した。
しかし、毎晩遅くまで働いて暗いリビングて薄い焼酎をすする夫の背中が不憫に思えてきて、近所のイオンで第3のビール「バーリアルリッチテイスト」を購入した。他にも新ジャンルはあったけど、「リッチテイスト」というネーミングが他の激安ビールより幾分マシな味に思えたからだ。
その名の通り、今まで呑んできたどの激安ビールより芳醇な味わいで、「安酒=不味い」という私の先入観を覆した。
本物のビール特有の臭みがなく、とても軽い飲み口。
この豊かな味わいと癖のなさ、軽さのギリギリの均衡は、麦芽を使わない新ジャンルだからこそ実現できたのかもしれない。
夫も味だけでは激安ビールとは気づかず、たまに贅沢したい気分の時はバーリアルリッチテイストを夕飯に並べるのが我が家の習慣となった。
大酒飲みだけど味にも家計にも妥協したくないワガママさんにはピッタリの逸品だ。
酸味★☆☆☆☆
苦味★☆☆☆☆
香り★☆☆☆☆
口当たり ★★★★★
旨味・コク★★★★★
ビール日記 バドワイザーとカルフォルニアの夜
父親が、近所の酒屋でセールだったというアメリカ産バドワイザーの小瓶を2本、手渡してきた。今夜は私と飲みたいらしい。
飲み友達と路上で小瓶を飲むときは小銭を使って開栓するけど、公務員として定年まで勤め上げた真面目一徹の父にそんな技はなく、行儀良く栓抜きを使った。
普段はコップに注いで飲むのに、珍しく直飲みの父。
「映画みたいでしょ?」
彼の中では、今、私たちはカルフォルニアのハイウェイにいるようだ。
「映画の中なら、カウボーイハット被ってるね」
私もブラッドピッドよろしく眉をしかめながらグイッとビールを喉に流し込む。予想外な強い甘みに、目が覚めた。
口当たりも柔らかく、後味もスッキリしていて飲みやすい。
普段は苦味が強いビールしか飲まないけど、これはイケる。
「甘い!美味しいけど、甘すぎて痛風になりそう」
アメリカのビールは日本のそれと違い、食事代わりになるくらい濃厚なものが多い。ビールが主役級だから、つまみがいらない。
試しにグラスに注いで飲んでみたら、急に味がボケて、口当たりもスッキリしすぎてなんだか物足りなかった。
「グラスで飲むと、おいしくないね」
「そりゃ、そうですよ。これは、直飲みするために作られたビールなんですから」
彼は、知ったかぶりをするとき、敬語になる癖がある。
カルフォルニアの夜は、星屑が燦然と輝いている。私と父は、型落ちのほこりまみれのコルベットに寄りかかり、バドワイザーの小瓶を飲み干した。昼間はうだるほど熱気がこもるのに、陽が落ちると一気に涼しくなるのがこの町の気象の特徴だ。
でも、ここはニセモノの世界だから、空に浮かぶのは金色のペーパームーン。
スッキリ度 ★★★★☆
甘さ ★★★★★
柔らかさ ★★☆☆☆
苦味☆☆☆☆☆
香り★☆☆☆☆
アルコール5%
原産地 アメリカ
瓶から直のみがおススメ。凄く飲みやすいので、ビールが苦手な人はぜひ試してみて。
ビール日記 THE軽井沢ビール プレミアム・ブラウン
「一生の仕事に出会いたい」
そう言う私に、知り合いのクルマ屋の社長が応酬した。
「何かが好きでしょうがなくて、このことなら日本一詳しいってなると、それは一生の仕事になるよ」そして「君が好きなことって何なの?」
私は「お金です」と即答。
「お金以外は?」
「‥‥酒です。うまい酒を飲むためならお金に糸目はつけません」
「それだよ。収入に繋がらないのにお金を使っちゃうのは本当に好きだから。君は、お酒を追求すればそれが一生の仕事になるかもしれないね」
だから、今日から毎日飲む酒を記録していく。
記念すべき第1回目のビール日記は「THE 軽井沢ビール プレミアムブラウン」。
原材料は麦芽、ホップ、アルコール分は5.5%。
浅間山・軽井沢の名水で仕込んだ長野産のビールだ。
柔らかな口当たりと、苦味はなく、強い酸味が特徴。香りはごく普通のビール。
酸味にクセがあるから、苦手な人もいるかも?酸味以外はノーマルなので比較的万人ウケはするけど、私はもっと香りもコクも苦味もパンチが効いたのが好みなので、毎日は買わないかなあ。
旅行の思い出作りにはオススメ。
酸味★★★★☆
苦味★☆☆☆☆
香り★☆☆☆☆
口当たり★★★★★
ギャルを目指したら麻原彰晃になった話
私が思うに、地味なブスとギャルなブスの違いって、「可愛いって思われたい、あわよくばモテたい」願望の強弱なんですよ、きっと。ギャルなブスのファッションを観察してみたんですが、茶髪のロングヘア率が高い!!で、私はひとつの説に行き着いたんです。
「茶髪のロングヘア=ブスカバー力半端ない」説。
ショートとボブの間を行き来してきて20余年、全く可愛くもなければモテもしなかった人生を打破すべく、私はまず髪を伸ばすことにいたしました。
美容院に行くのをやめてから約6ヶ月。髪は伸びたが、思ったような仕上がりになっていない‥‥
予定では
こんな感じになっているはずだったのに
こんな感じになっておりまして‥‥
鏡に映る私は髪が輪郭を覆うことで、形の悪い骨格が強調されてるし、野性味が溢れ出して、小雪を目指してたらガンバレルーヤになっちゃった的なコレジャナイ感がビシビシ出ております。
そもそも「ギャルなブス」とか上から目線で他人の容姿を批評してたけど、もしかして自分が思ってる以上に私、不細工だったりして‥‥
いや、この麻原彰晃感は、髪を美容院で全く整えていないからに違いない!!
チラッとなんか見えちゃった真理は封殺し、ホットペッパービューティーで近場の当日予約可の美容院を予約しました、会議中に。
「今日はどんな感じにしますか?」
初めて行った美容院で、指名なしにしたら、若い男性美容師が担当になりました。
「髪を伸ばしたくて半年くらい美容院サボってたら、髪は伸びたけど、なんか、似合わなくて‥‥」
麻原彰晃感をなくしたいって言いかけたけど、それを言っちゃったら私の顔と今の髪型がフュージョンしたことで生まれてしまった、あかんバイブスの正体が「めっちゃ麻原彰晃に似てる!」ってことが初対面の異性にバレてしまう。それは女子として避けたい‥‥
「え、似合ってない?そうっすか??」
「あ、いや、その、なんというか、麻原彰晃っぽいのを何とかしたくて」
恥じらい、速攻で陥落。
カットトリートメントでなけなしの1万払って、彰晃のままなんて目から血の涙がスプラッシュする事案なんで、正直な思いをぶつけましたよ。さあ、捨て身になった彰晃似のアラサーを、匠の技でギャルにしてくれるんでしょうねぇ!?
2時間後‥‥
清潔感は、出てきたかな?
‥‥やっぱり、顔が問題なのかなあ。
全く手入れをしなかった